アルゼンチン 農薬の犠牲者
撮影:パブロ・ピオヴァノ

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タリア・ベレン・ソロコ(14歳)は先天性奇形児だ。心臓手術を受け、深刻な運動障害を抱えている。父のフアンと母のアニータは子供の頃からタバコ畑で働き、フラダンやブロモメタンなどの禁止農薬を扱ってきた。娘のタリアが生まれてから、二人はタバコ畑を離れ、持続可能な農業に取り組んでいる。

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アデミール・ゴティンは20歳の少年だ。深刻な精神障害に苦しんでいる。妹のアンドレア・ゴティンは健康な少女だったが、8歳の時ブロモメタンを吸い込んでしまい、9日間病院の集中治療室で治療を受けた。ブロモメタンを吸い込んでから数時間で熱が上がり、脳の運動機能に影響が出た。腎臓の移植が必要で、週に3回透析を受けている。

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アルフレド・セロンは9年間大豆畑で農薬を散布していた。化学物質のせいで常が剥がれ落ちている。非アルコール性肝硬変と3度の椎間板ヘルニアに苦しみ、1年で45キロ痩せた。検査の結果、血中にグリホサート、クロルピリホス、アザトリナ、2.4D、シペルメトリンが残留していることがわかった。
セロンは現在自身の健康状態を巡って労働保険会社と係争中である。

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ファビアン・トマシは何年も農薬散布会社で働き、充填やポンプ注入を担当していた。深刻な中毒性多発ニューロパチーを患い、全身の筋委縮の治療を受けているため、家から出ることができない。マスクや手袋が必要な時でも、一度も防護具を使わずに農薬を扱ってきた。「体にとって危険だなんて知らなかった。専門家には化学物質に注意するようにと言われたが、この辺りでは誰も注意なんかしていない」と彼は言う。

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モニカ・ガブリエラ・ライス(21歳)はパラプレジアと知的障害に苦しんでいる。モニカの母は、タバコ畑で働いていた15歳の時にモニカを出産した。

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アニタ・ソサ(2011年生まれ)は自力で歩けないが、姉と一緒にダンサーになることを夢見ている。二人の母、リリアナ・ドワラクは、とても毒性の強い複数の物質にさらされ、そのせいで妊娠中に問題が生じた。デング熱対策として、市が家に薬剤を散布したのである。

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3歳のルーカス・テチェイラは先天性の魚鱗癬を患っている。肌が乾燥してひび割れる皮膚疾患だ。地元ではクリスタルボーイと呼ばれている。父のアーノルドは息子が生まれた時たばこ畑の仕事を辞めた。32歳になるルーカスの母ロザナ・ガスパーも、家庭菜園でいつもグリホサートを使っていたという。

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ジェシカ・シェファー(11)は7歳の時から腱の異常のためまっすぐ立つことができない。それにもかかわらず、中国刺繍を習い、家庭菜園を手入れし、時には家族全員の食事を作ることもある。母のロマナ・アンジェリカ・デ・リマはアフリカ出身で、6人の子供がいる。ロマナと夫はほとんど人が住んでいなかった30年前にフラクラン村にやってきた。フラクランはタバコの栽培地で、農薬の被害者が多数発生している。
ミシオネス州では、子供の1000人に5人が中枢神経系の深刻な異常である脊髄髄膜瘤(MMC)を抱えて生まれる。脊髄がむき出しのまま生まれ、尿・大便失禁や下肢の異常などの問題に苦しむ。

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日々の作業にいそしむゴティン家の人々。

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自宅前の通りでポーズを取る双子のアルド、マキシミリアーノ・バリオス(2004生)と母のエレナ・アルデレテ(1977生)。子供たちは二人とも深刻な先天性小頭症を患っている。これは遺伝子組み換え作物の栽培における農薬の使用と関連性がある病気のひとつだ。双子はたくさんある障害者向け施設のひとつに通っているが、このような施設の数が年々大幅に増加している。

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エドガー・フォンタネラスは家族と共にフィルマトに住んでいる。この小さな村では、すべての畑でGMO大豆が栽培されている。エドガーは家族が度重なる燻蒸にさらされたと30回も当局に告発したが、脅迫を受け、2度銃撃された。
息子は二人とも難聴で、エドガーは何度も農薬の暴露を受けたためだと考えている。

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畑を駆け抜ける少女。

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何もない原っぱに佇むモニュメント。