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アパレルブランドを立ち上げるのが夢だったデザイナーの宮本愛子さんが、日本にはない生地を求めてインドを訪れたのは2008年。北東 部の町ジャイプールで偶然訪れた工 房で「木版プリント」と出会った。
「木版プリント」とは、木彫りのハンコのようなもので布に模様を施していくインドの伝統的な技法のこと。細かな模様を彫る職人の手さばき、真っ白な布に向かってリズミカルに版を押していく様子、機械では 出せない独特の風合い……。一気に 惚れ込み、この技法を使った服を作 ろうと決意した。

木版で染 色する職人たち。
木版で染 色する職人たち。

木版プリントはジャイプールで 500年もの歴史を持ち、その工房 でも、代々仕事を受け継いだ地元の職人たちが働いていた。お互いを思いやる家族のような工房で、宮本さんのことも暖かく迎えてくれたが、小規模な工房だったため一度は服作りの依頼を断念。その後いくつもの 工房を回るうちに3年が経過し、諦めかけたそのとき、再び当初の工房 を訪れた宮本さんに、オーナーは「職人も増えた今なら一緒にできる」と 言ってくれたという。

木版を彫る職人。木材の乱用 を防ぐため、一つのプリント柄に使う木版は 4個(4色)にとどめ、生地や色の組み合わ せを変えてバリエーションを出す。
木版を彫る職人。木材の乱用 を防ぐため、一つのプリント柄に使う木版は 4個(4色)にとどめ、生地や色の組み合わ せを変えてバリエーションを出す。

宮本さんがデザインした柄を職人たちが木版プリントで再現し、できあがった生地からインスピレーショ ンを得て、宮本さんが改めて洋服や 寝具などの商品をデザインする。縫製も同じ工房でおこなう。 12年、オリジナルブランド「kapuwa」を立ち上げ、日本での販売を開始した。工房は成長し、今ではプリント 職人だけでも約 50人が働くという。
「誰が作るかってすごく大切。顔の 見えないものづくりではなく、作っている人のことまで知って欲しいと思っています」と宮本さんは言う。

(小島亜佳莉/本誌編集部)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA枕カバー・キルトとも 多彩な柄がある。中 綿入りキルトはS・M・ Lサイズ4536円〜。 枕カバーは3500 円。kapuwaは洋服 のブランドとして始まったが、洋服作りだけでは時期が限られてしまうという 職人たちの声から、寝具やキルト、エプロンなども商品 化。「kapuwa home」として新しいブランドが誕生した。

 

パリワール株式会社
2012年から「kapuwa」(太古にインドから木を伝えたといわれる人を指す言葉)ブ ランドとしてオリジナル商品を販売、15 年に株式会社となる。社名の「パリワール」 と は イ ンド の 言 葉 で 「 家 族 」 と い う 意 味 。 東 京 都 品 川 区 旗 の 台 で 土 曜 限 定 の アト リエショップを展開。 全国で開かれる展示会などにも出店。ネット販売もあり。 お問い合わせ 03-6426-8673  http://www.kapuwa.info