AV出演を強要されたり、言葉たくみに出演せざるを得ない状況に追いこまれる被害の訴えが増え、中には自殺者も出ている。こうしたことから身を守るにはどうしたらいいのか。
話/くるみんアロマ(ユーチューバー)
まとめ・写真/広河隆

緊急相談窓口

・PAPS=ポルノ被害と性暴力を考える会 050-3177-5432
・ライトハウス人身取引被害専用ホットライン 0120-879-871 (月〜金曜日 10〜19時)

ヒューマンライツ・ナウのイベントでAV出演強要の経験を話す、くるみんアロマさん。東京しごとセンター。2016年10月11日
ヒューマンライツ・ナウのイベントでAV出演強要の経験を話す、くるみんアロマさん。東京しごとセンター。2016年10月11日

まるで『洗脳された』ように出演に追い込まれていった

たくみな勧誘にあって

最初に声をかけられたのは、新宿を歩いていたときです。男性に「グラビアに出ませんか」って言われました。「そういうのは興味ないです」と言ったら「芸能界には興味ない?」と聞かれました。私は昔から音楽をやっていたのでそのことを言ったら、「もしあなたが音楽をやりたいのであれば、最初に水着になってくれたら君の夢を応援したい」と言われました。「水着だけで、脱がなくていいから」って。

今この瞬間にも、街中でスカウトマンに声をかけられている女性は何百人といると思います。でも、彼らが女性に渡す名刺には、もちろんAVのことなど書いてありません。私は何回か断っていましたが、芸能事務所の社長を紹介されて、やがて事務所に入ることになりました。そのうちにグラビアの撮影の面接ということで、講談社の週刊誌『フライデー』に連れていかれました。そこでいきなり事務所の社長から、ヌード撮影を約束させられました。社長はこのグラビア撮影がヌードだということは前から知っていたけど、私には隠していたんです。帰り道に「大手の会社だし、これも芸能界へのステップだ」と言い聞かせられました。

ヌードでのグラビア撮影を終えた後、今度は事務所からAV出演を切り出されました。何人もの男の人に囲まれて、時間をかけて出演を説得されました。

「君の夢を応援する」

芸能界を夢見ている人は多いですから、芸能界入りの可能性があると言われたら本当かもしれないと思ってしまいます。でも素人が1人で事務所に行ったら、ほとんど相手のペースにはまるから、もし行くのであれば、社会人のしっかりした男性と一緒に行くのがいいと思います。そうすると簡単には騙せない雰囲気になって、早い段階で引き返せるかもしれない。いくら本人が半信半疑の気持ちを持って用心深くしていても、1人だと話を信じ込まされてしまうものなのです。とはいえ女友だちと一緒だと、2人とも被害者になる可能性もあると思います。

私は最初、「君の夢を応援するよ」と言われました。それを聞いて、この事務所の人は、私の可能性を見つけてくれたのかもしれない、と思いました。

事務所では、みんな怖いくらいに私を褒めるんです。そして、自分たちの顔が広い所を見せようとして、有名人が知人だなどと言って、「みんなでバーベキュー行く?」とか言うんです。それも流暢すぎるくらい流暢に。「この人はすごい人だ」っていつのまにか思うようになっちゃう。「有名人たちをプロデュースしてきたこの事務所の人間に声をかけられたあなたはすごいよ」って持ち上げられて。だからその時は、この事務所の人たちは本気で言っているに違いない、自分では気がつかない私の魅力を見つけてくれたんだって思いました。

うまい話って世の中にそうあるものじゃないっていうのも、社会に出始めて間もない人間には分からないんです。どこまでが本当の話でどこまでがウソの話か。だから、素人で若くて社会に出始めた女の子を狙うんです。

私をスカウトした人なんて、「もう俺はお前のことを一生面倒みるからな」とまで言ったんです。「タワーマンションでプール付きのところに住まわせるから、どこがいい?」とか。こっちは半信半疑ですけど、やっぱり舞い上がるじゃないですか。だんだん、この人の意に添いたいと思ってしまう。今思えば馬鹿じゃないのって思うんですけど。こうして、私の夢をかなえるためにはAVに出るしか道はないという説得が、何か月もかけて何人もの大人によって進められたのです。

脅され、心もてあそばれ

それでも私がAVに難色を示していたら、「あなた差別しているの?」と言われました。私がAVに対して偏見をもっていたことは事実です。AV女優って知らない世界の人で、近寄っちゃいけない人というイメージがあったんです。でも「そう思うのって偏見だろ」「差別してんだろ」って言われたら、確かにそうかもしれないと思ったんです。私はボランティアをやったり、社会的な活動もしていたりしたから、「差別」って言葉に弱いんです。だから相手も、あ、こいつは正義感が強そうだから、この言葉がきくって考えたのだと思います。

そのうち脅しも始まりました。「あなたが(AVを)やらないと、ここ(事務所)にいる全員の家族が食えなくなるんだよ、あなたそれを補償できるの?」みたいに言われたんです。

それでも私の心の中のどこかには、あの人たちは本当に私のためを考えてくれているんだっていう希望もあったんです。だから、その後2週間ほど連絡がとれなくなって、ああやっぱり騙されているのかなと不安に思って、それでまた連絡がくると、「あ! 連絡がきた!」って喜ぶ自分がいるんです。「打ち合わせしよう」って言われて会いに行く。それで「あなたのやりたいことを教えて」と言うので夢を話すと、「分かった。じゃあ考えておくから」って言われる。それでまた2週間くらい連絡がとれなくなるんです。それを何回か繰り返すんだけど何も実現しないからがっかりして落ち込んで。次に会ったときに、泣きながら訴えたんです。

「私を騙してるんだったらここで終わりにしたいです。降りたいです。でも本当に夢を叶えようとしてくれているんだったらやりますから」って。AV出演を承諾してしまったのです。

AV愛好家の人たちはよく、「お前が好きでやったんだろ」みたいなことを言います。でも結局、多くの女の子たちは、目標とか何かのためのステップ、手段としてやろうとしていることが多くて、AVが好きでやっているわけではないんです。

続きはぜひ誌面でどうぞ

くるみんアロマ  動画サイトYouTubeで独自の動画を配信するユーチューバー。登録者1万1500人、視聴回数119万回。2016年、AV出演強要の被害者としてカミングアウトした。JAAアロマコーディネーター、ヨガ講師。 https://www.youtube.com/channel/UCQbAhialIXC2M_eG-PIBmzg