シンプルな箱には生産者のイラスト。「She(シー)ソープ」は、石けんはもちろんのこと、パッケージまでフェアトレード。作るのは、バングラデシュとネパールの女性たちだ。

バングラデシュの首都ダッカから北に約120キロ。マイメンシンでは、セックスワーカーとして働かざるを得ない女性が少なくない。とはいえ、そういった女性に対する世間の目は厳しく、家族からさえ見放されることもある。賃金は安く生活は苦しいが、他に生きる道を自力で見つけることは困難だ。

ネパールの生産者たち。真ん中のドゥルガ・カットリチャットリさんは自ら国連開発計画のプロジェクトに応募し、石けん作りを学び、工房を立ち上げた。その後2010年よりSheソ―プ作りに携わるようになってからも、品質改良や商品開発などに積極的に取り組む。
ネパールの生産者たち。真ん中のドゥルガ・カットリチャットリさんは自ら国連開発計画のプロジェクトに応募し、石けん作りを学び、工房を立ち上げた。その後2010年よりSheソ―プ作りに携わるようになってからも、品質改良や商品開発などに積極的に取り組む。

南アジアで40年以上フェアトレード活動を続けてきた「NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会」の職員に7年前、現地のパートナー団体の女性から「元セックスワーカーたちが作った石けんを日本で販売できないか」という相談があった。彼女は、女性たちが、別の仕事をして自立し生活していくため、石けんを作る技術と機会を与える活動をおこなっていた。彼女の熱意が日本での誕生のきっかけとなった。とはいえ日本で求められる「品質」は厳しい。幾度の品質改良を重ね、2年後の2011年、ようやく店頭に並んだ。現在、マイメンシンでは20人以上の女性たちが、この石けんを作っている。

Sheソープを作る女性たち
Sheソープを作る女性たち

「石けん作りの仕事は、彼女たちにとって単にお金を稼ぐためだけのものではないんです」とシャプラニールのスタッフ、平澤志保さんは言う。工房に通い始めたばかりの女性の中には、うつむき、打ちひしがれている感じの人も少なくない。しかし、働き続けていくにつれ表情も明るくなるという。「人に胸を張れる仕事で生活をしているということで、自信がついたのだと思います」

Sheソープの生産過程
Sheソープの生産過程

もうひとつの生産地であるネパールのグリ村は、首都カトマンズから車で約13時間。辺ぴな農村に十分な仕事はなく、多くの男性が、町や海外に出稼ぎに出て行く。男性が病気になったりして十分な稼ぎがなくなれば、家族は貧困に陥る。夫が出稼ぎに行ったまま帰ってこないケースも珍しくない。村では、それぞれ様々な事情を持つ女性たち3人が、石けんを作り、家族を支えている。

Sheソープの生産過程
Sheソープの生産過程

Sheソープの原料は、現地の木の実から作られるバター、オイル、ハーブ、蜂蜜などすべてが天然のもの。ひとつひとつが手作りだ。秋のバスタイムに、ぜひ♡(小島亜佳莉/本誌編集部)
Sheソープ バングラデシュ産とネパール産でフェイス、ボディ、ヘア、ベビー用の4種類ずつ。香りはレモングラスやミントなど7種類。箱には現地で手漉きされた紙を使用。1個1107円〜(税込)。箱なしは810円〜。現在は全国150以上の店舗で販売。ネット販売もあり。 http://www.craftlink.jp/

シャプラニール=市民による海外協力の会 1972年に設立された日本の国際協力NGO。ネパールとバングラデシュを中心に活動。「シャプラニール」とはベンガル語で「睡蓮の家」という意味で、睡蓮はバングラデシュの国花でもある。お問い合わせ先03-3202-7863 https://www.shaplaneer.org/