知ろうとすることは力になります。
知ろうとすることは力になります。Wire art by OSHIDORI Ken

情報開示請求って知ってる?

高江も辺野古も、沖縄の米軍基地をめぐる強行策は酷いし、独自の福島原発事故検証を命じて(詳細は、DAYS7月号に掲載)、事故追及のよりどころとなっていた新潟県知事の泉田裕彦さんは、次の知事選への出馬撤回を表明するし、福島県の甲状腺検査は縮小される見通しになっているし、あちこちで問題だらけ。でも全部何とかしたい。できることは全部やるし、できないことも片っ端からやってくよ!

さて、情報開示請求のお話。読者のみなさんで、情報開示請求したことある方、おられる? 私は原発事故の取材を始めてから、情報開示請求を覚えました。知る権利の行使は本当に大切。黙っていても誰も何も教えてくれないし、都合の悪いことは隠されるものだしね。たくさんの方々が「調べるぜ」と動くことはパワーになる。一人でも追及することは必ず何かを動かすし、私はけっこう動かしたよ☆ コツは、やっぱり調べまくること、開示されているものは何か、何が開示されていないか、きっちり見極める。書籍や学会誌などから、開示されていない情報を探るのも有効。「こんな会議、視察あったの?」「この部署にこういう情報があるの?」等、けっこうポロっと大切なことが書いてあったりするものなんです!

環境省の隠ぺい体質

DAYS2月号に、福島第一原発事故の汚染土壌が公共事業等に再生利用される可能性があると書きました。この件について担当している環境省の「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会(以下、検討会)」の話し合いはその後進み、今年の4月8日には、8000ベクレル/キロ以下の汚染土壌が全国の自治体の公共事業で使われるという「開発戦略」が策定されちゃいました。

けど、検討会の下に設けられ、この問題を議論するワーキンググループは、全くの非公開で、メンバーや名称すら明らかにされていませんでした。環境省に取材すると、「名称だけは公開できると思う」と教えてくれたけど、「メンバーは?」と聞いても、「それは今のところ私の一存では公開できるかどうか……」。国会議員の山本太郎さんに頼んで議事録・資料の公開など追及してもらうも、非公開。何で?

とりあえず、「除去土壌等の再生利用に係る放射線影響に関する安全評価検討ワーキンググループ」という正式名称だけは手に入れたので、それを元に6月10日、全6回開催されたワーキンググループで使用された資料と議事録をすべて情報開示請求しました。すると、1か月開示の決定を延期され、2か月後の8月10日、ようやく開示に至りました。でもとても卑怯な開示方法でさ! というのも、開示前に環境省から電話がかかってきて、「開示決定をしますが、同時にホームページに公開しますので、それをご覧になることもできます」と言われたのです。

開示請求をした情報が、広くウェブ公開されることは悪いことではないよ。旧原子力安全委員会は「1件でも開示請求があれば、それは国民に関心がある情報ということで、開示決定後、ウェブに公開します」というやり方をしていて、情報公開ページがありました。これはフェアなものでした。なぜなら、自ら情報公開はしていなかったけど、請求があった後に公開した、ということが分かるようにしてあったから。

一方、環境省は今回、当初は非公開のまま進めようとしたのに、初めから自ら情報公開していたかのようにウェブ公開すると言ってきたので、卑怯だと思いました! 開示された議事録には「取扱注意」のハンコとともに、「公開請求されたら出す必要はあるが、基本的には非公開扱い」という言葉が! 開示請求されなかったら、バックレるつもりだったな!

開示された議事録の驚くべき内容

さて、このように隠したかった資料や議事録は、やっぱり驚きの事実がいろいろと書かれています。汚染土壌の再生利用は、原発事故後のものすごい決め事の一つではないか、と私は思っていたのですが、やっぱりそうでした。第1回検討会の資料を見ると、今回決めるのは「新概念」と赤字で書いてあります。

新概念? そうなんです。本来、原子炉等規制法では再生利用していい放射性廃棄物の基準値は、100ベクレル/キロ以下のものと定められています。それを今回、8000ベクレル/キロまで基準値を上げて、再生利用しようとしているわけです。ワーキンググループの議事録を読むと、この基準値引き上げの矛盾を説明するための、「理論武装」の過程が見て取れます。

・原子炉等規制法では、100ベクレル/キロ以下のものは放射性廃棄物として扱う必要もなく、基準値以下なら「無制限の再生利用」が可能。なおかつ管理責任を持つ者を必要としない。
・今回の汚染土壌の再生利用は、管理責任を持つ者を作れば、100ベクレル/キロ以下の基準と切り離せるのでは?

そこでこんな文章が出てきます。「保全管理の主体が国や自治体であれば恒久的な管理も期待できる。こうした放射線防護以外の管理に自動的に付随して、放射線防護上の管理に相当する管理が継続されるととらえることが可能ではないか」(原文ママ、赤い色づけは編集部による)

何これ? 全然意味が分からない……。「国や自治体の公共事業で使えば、もともと保全管理の責任があるから、放射線防護の責任も自動的につくとみなしてもいい」ってこと? でもって、「自動的に付随して、その責任が国や自治体に継続されるととらえることが可能だから、既存の基準値とは切り離せる」ってこと? どれだけ希望的観測が入ってんねーん!

さらに、「原子炉等規制法の100ベクレル/キロの再生利用基準は、もともと(事業者によって)管理されているものが対象。今回は、事故後に環境中に出た放射性物質が対象だから……」と、原発事故で放出されたものは、既存の法律の枠外、のような言葉まで出てきます。

また、原子炉等規制法で定められている事業者が管理する放射線源や平常時の住民の被曝の基準は、年1ミリシーベルトが上限だけど、今回の新基準は、原発事故によって環境中に放出された線源に関する再生利用に関するものだから、年1ミリにこだわる必要がないという趣旨の発言もありました。要するに、原発の中にあるものは、既存の原子炉等規制法で管理されているけど、事故で外に出ちゃったものは、何の法律も無いから勝手にやっちゃおうぜ! と言っているのです。

ワーキンググループ内では、こうした恐ろしい考え方に基づいた「理論武装」が着々とおこなわれていたのです! そして最終的に、「(汚染土壌が使用される場所の周辺住民の)追加被曝(の上限)年1ミリシーベルトは、目安線量でいいよ」と結論づけられているのです! 非公開だと思い切った発言があるね!

このような議論の結果、汚染土壌の再生利用の戦略は「世界に前例のない一大ナショナルプロジェクト」として策定されたのです……。そして、今後は国民の反対があるだろうから、どのような「啓発活動」をしていくかについて、話し合われておりますよ……。

やっぱりどの問題も、知って調べるところから! 「なめんじゃねーよ」と、相手の想定外に動いてやりましょうぜ!

※情報開示請求の仕方は、総務省のホームページ内でご覧いただけます。